ひふみ投信

出庫時に社長や専務に張りつかれてはさすがの吉田も日常点検をやらないわけにはいかず、しぶしぶ点検をするようになった。
「永尾のヤロー、やり方が汚ぇ。俺はグーで、永尾はチョキだった。そこで俺には敵わないと思ったキャローは、パーな社長を連れてきたってわけだ。俺はグーだ。パーな社長には勝てん」

パーな社長パーな社長って、吉田、ひょっとして何か他意あるんじゃ?w

にしても、確実に日常点検をしたところで売上があがるわけではない。
「ウチは運行前に、確実に日常点検をしています!」
なんてお客さんへ声高にアピールすることでもない。本来、やってて当たり前のことなわけで。

次のミーティングで永田が静かに話し始めた。
「事務所側の人間がいくらお客さんのところへ営業に行っても、実際の現場でお客さんに向き合うのはキミらドライバーなわけ。だから、みんなには元気よくハキハキとあいさつしてほしいわけ。じゃ、吉田くん、早速ちょっとやってみて」

吉田はいかにもだるそうに、

「は? なんで俺が?」

永田はそれを聞き、いやらしい笑顔を浮かべながらウンウンと何度かうなづいた後、
「ほら出た。みんな聞いた? これ。これが典型的な悪い例。お客さんに何か頼まれて、『は? なんで俺が?』なんて応えるのは最悪だよね。で、吉田くんだけがそう見られるんじゃなくて、もうウチの会社全体が吉田くんみたいなそういう最悪な会社だと見られちゃうんだね。じゃ次、今岡リーダー、ちょっとやってみて」

「こんにちは! グッドトランスポートの今岡です! お荷物を引き取りに伺いました!」

と言い、ニカっ、とサイコーの笑顔でフィニッシュする今岡。
今岡うんこリーダーよ、あんた確実にエロいな。。

永田は喜んで「いいねいいね」と手を叩き、
「さすが今岡リーダー、すごい! 完璧! 100点満点中で600点て感じ。…それにしても、同じ会社にいて同じドライバーでなんでこんなに差がついちゃうんダロー」

「ちょっといいっすか」

突然、釜本が手を挙げ、

「永田さん、あいさつあいさつ言うけど、永田さんは俺たちに全然あいさつしないじゃないすか。自分じゃできてないことを人に求めるのってちょっとどうなんだろ」

と、不意打ちをくらう永田。永田は頭のてっぺんを右手の中指でポリポリかきながら、
「あれ〜、俺あいさつできてなかった? ホント? その認識はなかったかも。以後、気を付けます。すみません」
と言い、急にしゅんとなって大人しくなるし。え? 永田、まさか凹んでんの?? これはちょっと意外な一面。

永田はひょっとして蓮舫とか猪瀬直樹と同じタイプなのかしら。攻撃力はめちゃくちゃあるけど、防御力がほぼゼロで一転攻められるとそれまでの舌鋒の鋭さはどこへやら、ヘラヘラと卑屈な笑顔の防戦一方になってまうとか?

ミーティング後に吉田は、永田から一矢報いた釜本を称賛し、嬉々として飲みに誘ってたけど、釜本に「オレ、別に吉田さんの仲間とかじゃないんで」とすぐに断られていたw

余談:
筋金入りのドライバーの多くは、Yes or Noをハッキリ言う人が多くて、人づき合い的にとても分かりやすい。そこは運送業の良いところの一つだと思いますね。「行けたら行きます」みたいなこと言う人って、ほぼほぼいない。仮に言ったとすると、「じゃ、来なくていいわ」とピシャリと言われたりするしw 私が入社当初「〇〇日に、休めたら休みたいんですけど」と運行管理に言ったら、「なんだそりゃ。〇〇日に休みます、って言え。この業界のやり取りは、直球で行こうぜ、直球で!」と言われたのは今では良い思い出。以上、余談。

実は打たれ弱いのかもしれない男、
その名は永田。

(『永田という男ぁ戮砲弔鼎)
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